大栄翔と貴景勝、ともに高校相撲の名門・埼玉栄高校の出身です。
大栄翔は平成5年(1993年)11月10日の生まれ、一方の貴景勝は平成8年(1996年)8月5日の生まれです。学年でいいますと3学年、大栄翔が先輩になります。ですから大栄翔と貴景勝は埼玉栄高校の相撲部ではかぶってはいませんでした。貴景勝が1年生として入学した時は、3学年上の大栄翔は既に埼玉栄高校を卒業してプロの世界に入っていました。
ただ、大栄翔は埼玉栄高校を卒業後も母校に顔を出していて、貴景勝とは面識があったようです。大栄翔と貴景勝は、プロで切磋琢磨しているうちに親しくなっていったようです。
2人は先輩後輩の関係ではあるものの、後輩の貴景勝が先輩・大栄翔を「いじる」こともある、非常にフレンドリーな関係のようです。もっとも大栄翔は「愛されキャラ」として有名らしく、後輩力士から非常に人気があるようです。
そんな仲のいい大栄翔と貴景勝、相撲での対戦となると同じ突き押しタイプの力士です。突き出し同士なわけですから当然ですがあつく、激しくなります。大栄翔と貴景勝の激しい対戦をみていると相撲は格闘技なのだと痛感します。けがする力士が多いのも、うなずけますね。また大栄翔と貴景勝は同じ超名門・埼玉栄高校の先輩・後輩の対戦ということで、相撲ファンからの注目も高くなります。
埼玉栄高校の先輩・後輩であり、親友でもある大栄翔と貴景勝。この2人のこれまでの取り組みを振り返ってみたいと思います。
令和2年(2020年)の大栄翔と貴景勝
令和2年(2020年)、貴景勝は23歳、そして大栄翔は26歳でこの年をむかえています。貴景勝は大関、そして大栄翔は小結として令和2年・初場所をスタートです。
令和元年、貴景勝は大関昇進を果たしながら、ケガのため2場所連続で休場、そして大関陥落を経験してしまいました。しかし、大関陥落の次の場所で10勝をあげて見事に大関復帰を果たしています。令和2年は大関として優勝や横綱昇進が期待される年となります。
一方の大栄翔、年々成績が安定してきていました。令和元年は前頭の上位の番付で成績が非常に安定していました。大栄翔は毎年、着実に実力をつけてきている力士だと注目を集めはじめました。そしてついに、令和2年の1月場所で小結に昇進することになりました。22歳で大関に昇進した貴景勝と比較しては少し地味な存在ですが年々2人の実力差は小さくなっているのです。
令和2年・7月場所(2020年・東京)9度目の対戦
9戦目、大栄翔が不戦勝で勝ちました。通算対戦成績は大栄翔の4勝5敗!。
まず令和2年・5月場所(2020年・東京)は新型コロナウイルスの影響で中止となってしまいました。そして続く、令和2年・7月場所(2020年)はコロナの影響で本来の名古屋開催ではなく、東京での開催となりました。観客席も本来の4分の1である2500席に制限されての開催です。
貴景勝(23歳)は、かど番・大関としての7月場所でした。先場所は大関ながら7勝8敗と負け越してしまったからです。貴景勝は、かど番として非常に大きなプレッシャーのかかる場所になります。
一方の大栄翔(26歳)は、小結としての7月場所です。実は大栄翔、令和2年・1月場所(2020年)で、はじめての三役・小結に昇進しています。しかし、その1月場所で負け越し、小結を陥落してしまっていたのです。今回は2度目の小結(三役)としての本場所となります。大栄翔にとって令和2年・7月場所は三役(小結)定着を目指す場所でもあります。そして2人の対戦は12日目に組まれます。
結果は大栄翔の不戦勝での勝利です。(貴景勝の休場)
かど番・大関の貴景勝は、実は左ひざを痛めていながらの7月場所でした。そんな苦しい状況でありながら11日目の関脇・御嶽海との一番で勝ち越しを決めて、かど番を脱出していました。左ひざも「痛くて相撲が取れない」状態だったみたいです。貴景勝は、かど番を脱出した訳ですから、けがの状況を考えて7月場所は途中休場することになったみたいです。こうして埼玉栄高校の先輩・後輩対決は実現しませんでした。
7月場所、大栄翔は小結として11勝4敗の成績で勝ち越すことができました。三役としては、はじめての勝ち越しです。また大栄翔はこの7月場所、横綱・白鵬から勝利をあげています。大栄翔にとっては充実した場所となりました。
ちなみに優勝したのは、元大関の照ノ富士でした。この7月場所では照ノ富士が幕内に復帰したことが話題になっていました。元大関といえ復帰した場所でいきなり優勝とは本当に驚かされたものです。
令和2年・3月場所(2020年・大阪)8度目の対戦
8戦目、大栄翔が勝ちました。(押し出し)通算対戦成績は大栄翔の3勝5敗!
令和2年・3月場所は、新型コロナの影響により無観客で開催されることになりました。貴景勝(23歳)は大関、大栄翔(26歳)は前頭筆頭で3月場所(2020年)をむかえています。
貴景勝と大栄翔の埼玉栄高校、先輩・後輩対決は4日目に実現しています。
結果は大栄翔の一方的とも言える内容で、大栄翔の完勝でした。
この3月場所、貴景勝(大関)は7勝8敗で負け越しています。大関として大きな屈辱ではないでしょうか。そんな屈辱を象徴するような出来事が千秋楽に起きています。貴景勝は7勝7敗で千秋楽をむかえていました。勝ち越しのかかる1番での相手は朝乃山(関脇)でした。朝乃山は貴景勝とよく比較され、マスコミも貴景勝のライバルとして扱っている力士です。結果は貴景勝が負けてしまい、3月場所の負け越し決定です。来場所はカド番・大関としてのぞまなくてはなりません。一方の朝乃山はこの貴景勝との一番で大関昇進を確実にしたのでした。貴景勝にとって3月場所は不本意な場所となってしまいました。
一方の大栄翔は、この3月場所では8勝7敗で勝ち越しを決めています。前頭筆頭での勝ち越しですから、来場所は小結として本場所をむかえます。
令和2年・3月場所(コロナ・無観客)での優勝は横綱・白鵬でした。13勝2敗、横綱らしい安定の成績での優勝でした。
令和2年・1月場所(2020年・東京)7度目の対戦
7戦目、貴景勝が勝ちました(押し出し)。通算対戦成績は貴景勝の5勝2敗!
貴景勝(23歳)は大関、大栄翔(26歳)は小結で1月場所をむかえています。
大栄翔は、先場所(11月場所・九州)前頭筆頭で勝ち越しており(8勝7敗)、この令和2年・1月場所では念願の三役・小結への昇進を果たしています。当然将来の大関候補として相撲ファンからの期待も大きくなります。
「大栄翔も期待の若手力士の仲間いりだ!」(相撲ファンの声)
そんな新小結・大栄翔と大関・貴景勝も埼玉栄対戦は3日目に実現しています。
結果は貴景勝が押し出しで勝っています。「大関・貴景勝の貫禄勝ちだな」相撲ファンからこんな印象をもたせる完勝の相撲内容でした。
貴景勝は、この1月場所では11勝4敗の成績で終えています。徳勝龍や正代との優勝争いにも終盤まで絡めていました。ちなみに1月場所で優勝したのは前頭17枚目・徳勝龍でした。平幕優勝です。(しかも幕尻!)そして徳勝龍が優勝を決めた千秋楽での大一番、徳勝龍の対戦相手が貴景勝でした。そして徳勝龍は貴景勝を破って、優勝を決めたのです。大関貴景勝はこの1月場所では完全に徳勝龍の引き立て役になってしまったのです。
一方の大栄翔は、7勝8敗で1月場所は負け越してしまいました。この1月場所は新小結としてのぞんだ場所でしたが残念な結果になりました。
令和元年(2019年)の大栄翔と貴景勝
平成31年から令和元年にかけて(2019年)、貴景勝も大栄翔も非常に充実した時期でした。
貴景勝は令和元年・5月場所で大関に昇進しています。一方の大栄翔も前頭の上位番付で安定してきていました。令和元年(2019年)の段階では埼玉栄の先輩である大栄翔が後輩である格上・貴景勝に挑戦するという構図になります。
令和元年・11月場所(2019年・九州)6度目の対戦
6戦目、貴景勝が勝ちました。(はたきこみ)通算対戦成績は貴景勝の4勝2敗!
貴景勝(23歳)は大関で、大栄翔(26歳)は前頭筆頭で令和元年・11月場所にのぞんでいます。そして貴景勝と大栄翔は3日目に対戦しています。
結果は貴景勝が勝っています。しかし、物言い(1分間の協議)がつく際どい勝利でした。土俵際でのはたき込みでの勝利ですから貴景勝は肝を冷やしたはずです。
この11月場所では貴景勝は9勝6敗、大栄翔は8勝7敗で勝ち越しています。貴景勝は大関ですから物足りない成績でした。一方の大栄翔は前頭筆頭での勝ち越しです。来場所での三役(小結)昇進を決めた記念すべき場所となりました。
ちなみに優勝したのは横綱・白鵬です。14勝1敗の成績でした。この優勝した白鵬に唯一の黒星をつけたのは、大栄翔でした。2日目に押し出しで白鵬に勝っています。一方の貴景勝は千秋楽に白鵬と対戦、貴景勝は勝てませんでした。
令和元年・9月場所(2019年・東京)5度目の対戦
5戦目、貴景勝が勝ちました。(突き落とし) 通算対戦成績は貴景勝の3勝2敗!
貴景勝(23歳)はこの9月場所は関脇でのぞんでいます。5月場所で念願の大関に昇進したものの、けがによる休場で5月場所・7月場所と休場してしまいました。(当然、大栄翔との対戦もなし)そして大関を陥落してしまいました。
一方の大栄翔(25歳)は前頭3でむかえています。三役(小結)昇進を期待される存在になっていました。そんな貴景勝と大栄翔は初日に対戦しています。
結果は貴景勝が勝ちました。しかし貴景勝がバランスを崩すシーンが見られるなど、際どい勝利となりました。この場所で貴景勝は12勝3敗の成績を残すことができました。大関復帰の条件である10勝をクリア、そして優勝争いにもからみ、御嶽海との優勝決定戦になってます。優勝決定戦で御嶽海に敗北、またその優勝決定戦で大きなケガを負ってしまい、大関復帰を素直に喜べる状況ではなくなってしまいました。
一方の大栄翔は8勝7敗で勝ち越しました。確実に力をつけている印象を多くの相撲ファンに示すことができた場所となりました。
平成31年・3月場所(2019年・大阪)4度目の対戦
4戦目、貴景勝が勝ちました。(突き出し)通算対戦成績は貴景勝の2勝2敗!
貴景勝(22歳)は関脇、大栄翔(25歳)は前頭2で3月場所をむかえています。この3月場所、貴景勝は大関昇進のかかる大切な場所になります。三役で3場所・勝利数・33勝が大関昇進の目安です。貴景勝はこの3月場所で10勝すれば、ほぼ大関昇進が確実と言われていました。
そんな貴景勝と大栄翔は7日目に対戦しています。結果は貴景勝が勝っています。
「気持ちで負けないでいった」(貴景勝)
この3月場所、大栄翔は高安、豪栄道と2人の大関を破っていて、貴景勝と大栄翔の1番は大きな注目をあつめていました。しかし、貴景勝が埼玉栄高校の先輩・大栄翔に貫禄勝ちした形でした。
貴景勝は、この3月場所で10勝をあげて大関昇進を決めています。大栄翔は7勝8敗で負け越してしまいました。大関2人(豪栄道・高安)に勝ったものの、負け越しです。7勝7敗で千秋楽、逸ノ城に敗れて負け越しです。大栄翔にとっては悔しい場所となりました。
平成30年(2018年)の大栄翔と貴景勝
平成30年(2018年)貴景勝と大栄翔の対戦は本場所では1度もありませんでした。
この年(2018年)は、貴景勝にとっては飛躍の年になりました。1月場所で、はじめての三役・小結になります。そして11月場所(2018年)では、はじめての優勝(13勝2敗)を成し遂げることになりました。貴景勝、22歳での初優勝です。2018年は貴景勝が将来の大関候補として強烈に印象づけた年になりました。
一方の大栄翔(24歳)は、この年(2018年)の段階では本格派になる前といった感じです。なかなか前頭の上位では安定した成績を残せない状態でいました。この時点では三役で勝ち越せる実力をつける力士になるとは思えませんでした。
平成29年(2017年)の大栄翔と貴景勝 初対戦も2017年
2017年、貴景勝は20歳、大栄翔は23歳と本当に若いです。番付も貴景勝は幕内下位、大栄翔は十両から幕内へ行ったり来たりといった感じでした。そんな貴景勝と大栄翔も平成29年(2017年)に3度対戦しています。
平成29年・7月場所(2017年・名古屋)3度目の対戦
3戦目、貴景勝が勝ちました。(押し出し)通算対戦成績は貴景勝の1勝2敗!
貴景勝(20歳)は前頭筆頭、大栄翔(23歳)は前頭7で7月場所(2017年)をむかえています。貴景勝は3月場所・5月場所を2場所連続で11勝4敗の好成績で番付を上げてきました。大栄翔、3月場所は11勝4敗、そして5月場所は4勝11敗と不安定な成績でした。
7月場所は貴景勝が勝っています。しかし、貴景勝も大栄翔も7月場所は5勝10敗と大きく負け越しており、この時点では成長過程といった感じでした。
平成29年・3月場所(2017年・大阪)2度目の対戦
2戦目、大栄翔が勝ちました。(押し出し)通算対戦成績は大栄翔の2勝0敗!
貴景勝(20歳)は前頭13、大栄翔(23歳)は前頭11で3月場所をむかえています。この3月場所では大栄翔の方が番付上位になっています。そして5日目に対戦、大栄翔が押し出しで勝っています。平成29年・3月場所は貴景勝も大栄翔も11勝4敗の好成績で終えています。
平成29年・1月場所(2017年・東京)初対戦
初対戦、大栄翔が勝ちました。(突き倒し)大栄翔の1勝0敗です。
2017年1月21日、貴景勝(20歳・前頭12)と大栄翔(23歳・十両2)が幕内ではじめて対戦した日です。またこの日は、稀勢の里が初優勝を決めた日でもあります。
結果は大栄翔が勝っています。
大栄翔は十両でしたが成績がよく14日目に幕内で組まれました。前頭12の貴景勝と対戦、そして勝つことができました。また、この1月場所で大栄翔は十両優勝をしています。一方の貴景勝(前頭12)は7勝8敗で負け越しています。
ちなみに優勝は先程述べた大関・稀勢の里でした。念願の初優勝、そして横綱昇進を決めることになりました。
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